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中村勘三郎さんの訃報に接して

12/6
080109_img_02.jpg 勘三郎が死んだ。
 数週間前の週刊誌で非常に悪いと記事が出たから覚悟はしていた。
 ホントに花のある役者だし、舞台に対する情熱やその生き方も見習うべきことの多い方だった。
 最初に歌舞伎を見たのはもう30年くらい前。
 慶応大学の125周年記念で福沢諭吉という芝居を歌舞伎座でやるというので、大学が希望する学生にチケットを配ってくれた。それで観に行ったのが最初。3階席だった。
s_PC060002_20121207153537.jpg                             舞台まですごく遠かったけれど、先代17代目の勘三郎さんを舞台で見られた。しばらくして、歌舞伎を見始めた。勘三郎さんの芝居は、とにかくこっちにくるんだよ。だから分かりやすい。山ほど見た。
s_PB280028_20121207153537.jpg 雅子さまのご成婚の日も表ではパレードやってんだろうけど、僕は歌舞伎座で勘三郎の「俊寛」を見ていたなあ。もちろんコクーン歌舞伎や松尾スズキの芝居に出た勘三郎さんも観た。実は僕が通っている美容院は中村屋さんのご贔屓でもあって、時おり息子さんたちを美容院で拝見したし、何回かその伝でチケットを取ってもらったこともある。あまりにも面白いので、若い演劇人を何人も歌舞伎座に連れて行った。勘三郎さんが、「母帰る」という松尾スズキさんの芝居を大竹しのぶさんと一緒に本多劇場で見ているのを見たこともあった。大笑いしていた。そしたら、すぐに松尾さんと一緒に芝居を山ほどやったから驚いたな。一度楽屋におじゃましたことも、六本木の赤坂飯店の前で見かけて声をかけてしまい話したこともあった。平成中村座も最初の年にみて、今年は4月5月と昼夜なぜか見せてもらうことに成って見た。元気になったと思っていたのにな。最後の芝居は髪結い新三。面白かった。ネットで僕の書いた平成中村座の感想をスゴく褒めてくれている人がいるのでここにも載せさせて下さい。
s_PB280026_20121207153536.jpg トキワとカネムラ ‏@piccolobockle
この批評に勘三郎さんのすべてが書かれていると個人的には思う。平成中村座 法界坊/佐藤治彦のパフォーマンスアーツ批評 http://bit.ly/Vuwkeu  平成中村座 法界坊「圧倒的な劇空間。自らを越えていく勘三郎」
 2000年11月に平成中村座が旗揚げし「法界坊」を上演した時に観劇した。今回、平成中村座を見せてもらう機会があって、演目を見たら「法界坊」でああ、12年前弱に見た時、面白かったなあと思って観に行った。
 冒頭で法界坊がばあさん連中を連れて出歩くところまでは、ああ、こんな話だった、こんな話だったと思ってみていたのだが、話はおおよそ覚えていたけれども印象は相当変わる。会話は現代的で、七之助にわざと昔の歌舞伎のテンポで台詞をしゃべらせる以外はまるで野田秀樹の芝居をみているような現代口語のリズムで会話は進む。ギャグや人間関係のドライさの表現はまるで松尾スズキの芝居に通じるものがある。舞台転換は蜷川や超一流のアングラ演劇のケレン味たっぷりだ。遊びはあるけれども、それで劇空間が緩むのではなくクライマックスに向かって観客の心を引き込むために、扉を開けて手招きしただけだった。
 面白い。そして、12年前の印象と全く違う。12年前の「法界坊」は傑作として高く評価されたが、勘三郎は自ら作り上げたその「傑作」を堂々と乗り越えさらに上の頂きに向かっていたのだ。もちろん串田和美の力も大きいのだろうけれども。
A9UpnN8ge.jpeg 
 自らの作り上げたものを壊し、もっといいものにした。
 これは再演ではない。12年前の傑作を上回る傑作の上演だ。新作以上の新作だ。まるで次元を越えたような感覚を味わった。12年前の傑作は今回の上演を見るための巨大なプロローグのようにも思えるくらいだ。
 それを非常に分かりやすく魅せてくれたのが、二時間の本編終了後、30分の休憩時間のあとにある25分の浄瑠璃だ。本編をそのまま引きずっての作品だが、最後に舞台奥は放たれ、とんぼ達と江戸歌舞伎の醍醐味を見事に魅せてくれ、それは、スカイツリー、隅田川、そして、桜咲く日本を借景に繰り広げられ、最後に勘三郎は自らの肉体を放り投げて舞うのだ。余りにもの劇空間は中村屋がものすごい極みまで到達したことを宣言した。勘三郎はいろんなことをする。いろんな人と付き合う。しかし、それらは全てただただ歌舞伎のために行なってきたんだ、と分かって涙が止まらなかった。合点がいったぜ、中村屋!
 人間が生きるとは、生き抜くとはどれだけの覚悟と全てを掛けての姿勢が必要なのかをこの御大は魅せてくれた。圧倒してくれた。
 全ての人に見て欲しい。何があっても見て欲しい。
 今春世界で上演される舞台芸術の中でも屈指の傑作であろう。
 人を感動させるために、病み上がりのもうすぐ60になろうという男が命をかけて駆け抜ける。自らの名声なんかにこれっぽっちも頼っていない。この1ステージが全てだと言わんがばかりに。
 俺はそうやって生きてるか?少なくともたまには?って思ってしまったよ。
2012年4月3日@隅田公園内平成中村座仮設劇場

 いろいろと言われていたけれども来年の新歌舞伎座には登場すると思ったのにな。
 あっという間に去って行った。
 実は5月、最後の勘三郎の舞台。その夜の部の真ん中に、口上があった。中村屋が好きな方ならご存知の小三三さんとの口上。今までのことを振り返るものでしんみりして感動したのを覚えている。
 何かぐっと疲れて6日の新橋演舞場の歌舞伎のチケット無駄にした。


 
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佐藤治彦 Haruhiko SATO

Author:佐藤治彦 Haruhiko SATO

さとうはるひこ Haruhiko SATO
経済評論家+α
詳しいプロフィールはこのブログのカテゴリーからプロフィールを選んでごらん下さい。経済や金融を中心に90年代初頭から活動してきました。40代初めにセミリタイアし今は本当にやりたい仕事だけを選んでやっています。また、演劇活動にも力を入れました。台本書きや俳優としての仕事などもお待ちしています。
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