経済、市場、金融、政治、芸能、旅行、外食、映画、商品に至るまで、言いたいことを書きまくる。連日更新。古いのも時おり更新、チェックら!but 激しさを増す演劇活動はリンクから「経済とH」へGO。

TPPとTPP亡国論

4/2
 僕はTPPにポジティブに考えている。新聞やテレビ報道を丹念にたぐっても、TPPについて否定的な考え方は、貿易自由化によって日本の農業が壊滅する!からというわけだ。
 僕も以前はそこにいた。米の一部自由化、ガットウルグアイラウンド、日米貿易交渉…。過去40年間の日本の市場開放の流れの中で、農業側の反対の主張は常にこの論に立脚してきた。soyokaze61-9.jpg

 食料は国家の安全保障上、軍事、エネルギーとならんで最重要なことがらである。いや軍事以上の重要性をもっているとも言えるだろう。だから、食料自給率40%(カロリーベース)をきる日本の現状は異様なのだという考え方だ。日本政府はそれこど何十兆円もの農業補助金をつぎ込んで、我が國の農業を保護してきた。僕もそれが正しいと思ってきた。ところが、この数年は反対の立場を取るようになった。
 なぜなら、日本政府は既に数十年もの間、補助金で日本の農業を守ってきた。その意味合いの一部には、農業の近代化を進めて自由化の時代に備えて欲しいというのもあったはずなのだ。
 つまり、今は金を出すけれど、将来はもっと強い農業になってください。変わって下さいということだ。

 そして、どうなったのだろう。

 一部の農家は見事に近代化に成功した。
 努力していいものを作る農家は、以前より経営体質が強くなった。
 高品質の農作物、例えば、果物など海外に輸出されているものも。
 京野菜など高値で取引され関東圏ではなかなか手に入らない逸品。
 畜産の神戸ビーフなど名声が世界的になりグルメ奪い合いの様相。
 ワイナリーでは国際大会で評価されるような逸品を産み出され…
 などなど。

 しかし、一方で補助金漬けで旧態然のままな農家も少なくない。

 休閑地が拡大した。
 地方にいってみるといい。使われてない農地がどれだけ多いか。減反で米が作れなくなったとしても、何で他の農作物を作らないのだろう?

 農家の高齢化、兼業化の拡大。
 若い人で農業をやってみたいという人もいるはず。しかし、農地を持っていれば、その生産性に関わらず、補助金などで経済的な利益を得る事ができる。

 農業の近代化の遅れ。
 上述のふたつのこととも関わっているのだけれども、もはやジャブジャブの補助金なしでは立ち行かない農家「も」少なくない。一方で経済的に自立し利益を生んでいる農業人も少なからずいる。 

 休閑地が増え、若い農業人が増えていかないのは、「このままでいるのが結局経済的には楽でトク!」な農業の現状があるからだろう。
 
 僕の子どもの頃、それこそ40年くらい前は、今のようにコシヒカリやササニシキといった旨いブランド米は庶民のものではなかった。自主流通米という桜の絵のかかれた10キロ入りの袋が庶民の食べる米だった。僕のところはもうひとつ安いやつだったけれど。
 23-01.jpg 当時は国が米を原則として一括買い上げていた。戦後の食糧難の名残である。米は米屋さんで販売され、スーパーなどでは買えなかった。価格は自由価格でなく決まった価格だったのだ。だから、自主流通米はどこの米屋さんでも同じ価格。一部にコシヒカリなどもあったようだけれども、原則競争がなかった時代だった。
 年に一度、政府は米の買い上げ価格を決める。これは毎年のニュースで、政府側と生産者側が10円単位で交渉する、米価決定のための米価審議会が開催される建物の前には各地の農家代表=農協の人達が山ほどいて、怒号のなかで、農水大臣を初めとする与党の政治家に、米を一円でも高くしろと詰め寄っていた。
 そして、彼らは与党にとって大きな集票マシンでもあった。そこに政治があったのだ。

 しかし、時が流れ、このような光景はなくなる。日本政府により米の一括買い上げがなくなった。流通も自由化されスーパーで米が買え、値段も自由化された。そしたら、農家はもっと旨い米を作るようになった。旨い米で高く売れれば潤うからだ。
 僕は農家の現状を詳しく知っているわけではない。知らぬ実情もあるだろう。でも大筋ではそういうことなのだ。
 市場競争に曝されて頑張れば報われるという環境は、悪い事ばかりではない。image_20120428195747.jpeg 申し訳ないが、高齢で新しい農業にチャレンジしていく気力も体力も無い方には、今生でご先祖から預かっている農地をもっと有効に使うために日本の農業に差し出して頂きたい。ご先祖から、、、といっても戦後の農地解放以降の農地も少なくないだろうけど。
 
 若い人で、さまざまな高付加価値農作物、それは味や見栄え、もしくは有機野菜、低農薬農法。もしかしたら、作物そのものだけでなく、新しい流通の方法かもしれない…いづれにせよ、新しいことに挑戦している農業人に、もっと活躍してもらうためにも日本の農業のおかれる環境をさらに市場化したほうがいい、これが最近の僕の考えだ。何しろ、農水省も経産省も、農作物は今後の日本の有力な輸出商品とまで言い切っているのだ。
 
 アメリカの車に掛かる関税は日本はゼロである。日本からアメリカへ輸出される車には2−3%の関税がかかっている。アメリカは日本の非関税障壁がアメリカ車が日本で売れない理由だといって、パパブッシュ時代の時代、クリントンの時代、相当の圧力をかけた。日本は日本車のディーラーが、アメリカ車を扱う大サービスまで行なった。しかし、売れない。高い価格、悪い燃費、日本の道に合わないデカさ。そんなことは日本人なら誰でも知っている。
 米も同じである。日本はミニマムアクセスがあって、ある程度の米の量は無税で輸入されることになっている。しかし、実態は日本の米ばかりが売れる。もちろん、農家に対する補助金なども寄与しているのだろうが、外国からわざわざ輸入して日本の流通に乗せると経済的に合わないのだ。
 日本人は、いや日本人でなくても、ほとんどの国の国民は自分が食うものは自国のものがいいと思っている。だから、多少の価格差であれば、自国の農作物を食うのだ。もちろん、それだけではないけどね。
 
 話がそれた。僕は一大論文をかくつもりでないので、話をまとめよう。だいたい、話がとっ散らかってるし。


 僕はTPPに日本が参加する事で、日本の中でも競争力のない(=競争力をつけようと努力しない、したくない=未来のない)農家が農業から撤退し、その土地が集約され、一部は資本が入り企業が経営するだろうけど、農業が近代化されてもらいたい。そして、高付加価値でおいしく安心安全な農作物を日本国内および海外の人達に多く供給してもらいたい。
 TPPはメリット、デメリットあるだろうが、トータルで+と思っている。


 でも、自分は正しいのだろうか?だから、僕はTPPに反対する人達の論を知りたかった。新聞テレビなどの報道に触れても、自由化で日本の農業が崩壊するという40年来の主張しか聞こえてこないからだ。僕はその主張の本質は「TPPに参加するしないよりも、もっと農業補助金をよこせ」といってるように聞こえる。もっと論理的なアカデミックな主張はないのか?
 そこに、現れた話題の本。相当遅くなりましたが、先日読んでみました。image_20120404073822.jpeg TPP亡国論。何十万部も売れているらしい。中野剛志さんの本。僕は、学者の書くこの新書で、僕の考えているTPP容認の考え方を粉砕してくれることを期待した。ところが、実際はこの本、「TPP亡国論」それ自体のことはあまり書かれていなかった。
 デフレ脱却が必要とか、輸出拡大のために通貨安が必要といったことに原稿の多くが割かれていて、TPP参加が日本の、日本経済の亡国につながる分析、論はほとんど書かれていなかったのです。スローガン的なことや、すりかえ論はちょこちょこありましたが。ちょっとがっかり。少なくとも私は説得されなかった。


 日本の食料自給率が低い最大の要因は何でしょう?

 僕が思うに、それは日本の国土が人口に比して小さい上に、耕作地はさらに少ない。それに加えて、農業保護政策によって、農地の集約や農業経営の近代化が進まない事が大きな理由だと思うのです。それに私たちは相当グルメになりました。狭い土地で、トウモロコシも小麦もイモも自国で生産!といってもそりゃ大変な話と思うのです。
 日本の食料自給率はカロリーベースでは約4割ですが、金額ベースでは7割です。
 日本の食品廃棄は3−4割もあるそうで、さらに、元々僕のようにカロリー取りすぎな人も多いし、とも思ったりして。いや、これは冗談ですが。
スポンサーサイト

コメント一覧

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://fannylife.blog43.fc2.com/tb.php/835-2362c3ee

 | HOME | 

Calendar

09 « 2017/10 » 11
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

Appendix

佐藤治彦 Haruhiko SATO

Author:佐藤治彦 Haruhiko SATO

さとうはるひこ Haruhiko SATO
経済評論家+α
詳しいプロフィールはこのブログのカテゴリーからプロフィールを選んでごらん下さい。経済や金融を中心に90年代初頭から活動してきました。40代初めにセミリタイアし今は本当にやりたい仕事だけを選んでやっています。また、演劇活動にも力を入れました。台本書きや俳優としての仕事などもお待ちしています。
 仕事の依頼
 佐藤治彦に対する仕事の依頼は、佐藤治彦まで直接ご連絡頂ければ対応いたします。連絡方法は、Facebookの佐藤治彦個人のページからメールで送って頂くのが一番だと思います。もしくは、Twitterを通して連絡を頂ければこちらから連絡します。
 また、マネージャーなどが入った方がいい場合やなかなか連絡が取れない時などは、CAST+ キャスト+ 東京都港区赤坂 6-4-19-5F 電話03-3589-8011(担当田嶋)までご連絡いただいても構いません。ただし、予算が限られている時には直接僕に連絡下さった方がいいと思います。



Recent Entries

Categories

Archives

Recent Comments

Recent Trackbacks