経済、市場、金融、政治、芸能、旅行、外食、映画、商品に至るまで、言いたいことを書きまくる。連日更新。古いのも時おり更新、チェックら!but 激しさを増す演劇活動はリンクから「経済とH」へGO。

エッセイ お金のこと

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 むかし僕の家族が家庭教師につこうとしたことがある。
僕の高校の同級生を頼んだ。能力もそこそこあり真剣さもある感じだ。でも最終的に断った。
なぜかというと、その人こういったんです。
「佐藤くんのご家族からお金は頂戴できません。
教えることができるだけで嬉しいんです。頑張りましょうね」。
「うわぁ~そんなわけには…」。
もちろん、それ相応の謝礼はするつもりでいた。
でも、こちらから「そんなわけには…」といったら、舌の乾かないうちに
「そうですか。じゃあ、時給5000円でどうでしょうか?」って言った。
驚いてがっかりして断った。なぜかっていうとね。
家庭教師というのはマンツーマンでお互いの信頼を熟成していく必要がある。
まずは信頼第一。無料で教えて欲しいなんてこれっぽっちも思っていない。
それを、お金は要りませんと言った。これ、うそですよね。
本音じゃない。教える側だって、お金は欲しい。当たり前です。
自分の大切な時間を使うんだから、それでいい。まったくいい。
それよりも、「私もアルバイトですから時給も頂きたい。
1時間5000円というお金を頂戴したいです。
ただ、一生懸命教えさせてもらって、満足していただけるように頑張ります」。
これでいいんです。それが信頼できる誠実な答えじゃないかな。
プロフェッショナルな姿勢で頑張る、心を込めて接っすればいい。
そして、そう言ってもらえたらうそがなかった。
お金は要りません…と最初に言われた瞬間から、この人の言うことのひとつひとつに、
本音はどこにあるんだろうと探らなければならない関係を作ってしまった。
それは信頼を熟成するのに大きな障害となる。残念だった。

 僕は学生時代家庭教師のバイトをしていました。
今から考えると、演劇とか音楽とかに熱中していればよかったなと反省しているけどね。
 僕は、時給3000円もらって家庭教師のバイトをやっていました。
 教える相手は他人だし、僕はお金を要らないなんてもちろんいわない。
でも、お金はもらったけれど、教える学生をみんな可愛がった。
心から自分の兄弟のように大切にして懸命になって教えた。教え方も工夫し愛情を込めた。
それを、親御さんはみんな喜んでくれた。暴走族からエリートまでなついてくれた。
高校一年生で円周率のことが分からない暴走族の少年が、
僕が懸命になって教えていくと少しずつ分かってくる。
そのとき奴の目がドンドン輝いてくる。
分かるって面白れえ~!って言ってくれた。
落第しそうになっていた彼女の面倒も見てやってくれよと頼まれた。
台形の面積の出し方を教えた。それも喜んでくれた。
子供が変わっていく姿を見て、煎餅を焼いている夫婦は喜んでくれた。
決してお金持ちの人では人から、高いバイト料をもらっているのに、
毎回、煎餅を土産に持たせてくれた。「ありがとうございます」って言ってくれた。
自分の子供が変わるのがよほど嬉しかったんだろう。
僕の事情もあったために3ヶ月という限定で教えたんだけど、
両親が本当に頭を下げて、続けてくれないかと頼みに来た。
本当に心が熱くなった。
 今でも僕の教えた生徒たちが連絡をくれることがある。
それがとても嬉しい。
あんなに高いバイト料をもらっているのに、みんな本当に喜んでくれた。
それは、僕が彼らの子供を自分の兄弟のように大切にして、
時間の間だけ取りあえず教えるというわけではなく、
何とか懸命にしようと必死になったからだと思う。その気持ちが嬉しいのだ。
自分で言うのもなんだけど、心を込めて物に取り組むということ。
それが、生徒のやる気を引き出し、
僕のいうことを理解しようと頑張ってくれる。
そうすると自然と好循環になっていくのである。

 お金のことは難しい。
 次の話は30代。
1年間だけ働いたある会社の代表から、「月給は幾ら欲しいですか?」と聞かれて
「お金は要りません」といったことがあった。
3ヶ月、週5日、1日8時間以上、無料で本当に働いた。
自分の事務所で働かないかとオファーしてくれたことだけでメチャクチャ嬉しかった。
しかし、自分の能力と相手が求めるレベルを考えると
とてもお金をもらえるような仕事はできないと諦めていた。
そこで、とりあえず3ヶ月間は、働く条件を無給としたのだ。
自分から申し出た。もちろん無給でもやっていける環境が僕にはあったから言えた事だけど。
ということで無給で働いた。交通費も自分もち。
 しかし、それはダメだった。良くなかった。
相手は当方が無給だからと僕への要求に手を抜くのだ。仕事が楽すぎた。
4ヶ月目から年収1000万円くださいと言った。
とたんに、相手は死ぬほど厳しくなった。
逃げ出したいと思ったこともひとつふたつでない。
7日間くらい全く寝ずに自宅にも帰れず
会社の机の前で仕事をし続けた。
本当に頑張った。辛かった。
 30歳のときだった。一度給料は要りませんといったからには、断固もらわない。
でもそれでは腰掛けのようなものとなり、
相手は僕に100%の能力を出し切ることを求めなかった。
60%くらいでOKが出た。
これでは僕は伸びていくことができない。それは嫌だ。
だから、3ヵ月後に相手が予想するよりも高い給料を要求したのだ。
彼は何もいわずに払ってくれたが、
トラの穴のような地獄の特訓というかシゴキがまっていたのだ。
しかし、それが僕の30代を形作ってくれたのも事実なのだ。
お金のことは本当に難しい。きっと死ぬまでそう思うんだろうな。

人はお金のことで時に殺人を起こすし、お金のことで悩んで自殺したりする。
お金の扱いが下手だと、あの人はお金に汚いと悪口を言う。
反対に金に無頓着じゃ生きていけないし、誰にでも簡単に奢るようなことをすると舐められる。本当に難しい。そんなことを思ってみた。   2003年夏


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佐藤治彦 Haruhiko SATO

Author:佐藤治彦 Haruhiko SATO

さとうはるひこ Haruhiko SATO
経済評論家+α
詳しいプロフィールはこのブログのカテゴリーからプロフィールを選んでごらん下さい。経済や金融を中心に90年代初頭から活動してきました。40代初めにセミリタイアし今は本当にやりたい仕事だけを選んでやっています。また、演劇活動にも力を入れました。台本書きや俳優としての仕事などもお待ちしています。
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